商品の愛用者等が独立事業主として営業活動に参画することで当該商品や役務サービス等を提供する事業形態(特定商取引に関する法律に定義する連鎖販売業)について、その取引を適正にし、業の健全な発展を期すことにより消費者等の正しい理解と認識を得て、当該ビジネスに対する社会的評価を高めることを目的として定めています。

2012年4月1日


連鎖販売取引に係る自主行動基準

はじめに
 本自主行動基準(以下「ガイドライン」という。)は、商品の愛用者等が独立事業主として営業活動に参画することで当該商品や役務サービス等を提供する事業形態(「特定商取引に関する法律」(以下「特商法」という)に定義する「連鎖販売業」)について、その取引を適正にし、業の健全な発展を期すことにより消費者等の正しい理解と認識を得て、当該ビジネスに対する社会的評価を高めることを目的に、公益社団法人日本訪問販売協会会員(以下「会員」という。)の総意により策定したものである。
 商品の愛用者等が営業活動に携わるこの事業形態は、一部の心無い事業者のために消費者からの信頼を著しく損ねており、本来この形態が有している流通機能面の優れたところが社会的な評価を得ることなく見過ごされてきた。しかし、家計収入を補填するための副収入を求める主婦や、定年後の仕事として生き甲斐を感じている夫婦、あるいは更なる収入増を目指して独立起業する個人などに対し、この業界は広く就業・就労の機会を提供してきたこともまた事実である。その事実を社会に理解されるためにも、このビジネスに関わるすべての者が遵法精神を持ち、また個々の法規制の次元に留まらない高度のモラルをもって業を営む必要がある。
 具体的には、連鎖販売取引の規制はもとより、無店舗個人を相手に営業所以外の場所で取引をするという点において連鎖販売取引も訪問販売に該当しうることを理解し、訪問販売の規制も含めた諸法令による規制を遵守しなければならない。そのうえで、連鎖販売取引を主宰する者は、特商法の定義する「統括者」としての法的責任を負うのみならず、個々のビジネス加盟者を教育・指導・管理することで健全なビジネスを実現し、連鎖販売取引という流通形態の社会的評価を高めていく使命を負うのである。
 公益社団法人日本訪問販売協会(以下「当協会」という。)は、当該事業形態が社会に受け入れられ、消費者から信頼される事業形態として認知されるよう、その「在るべき姿」に向けて以下に掲げるガイドラインを定め、会員(その系列にある事業者を含む。以下同じ。)は本規定の遵守を約束するものである。

1.目的
 本ガイドラインは、連鎖販売取引を公正にし、商取引に不慣れな消費者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、消費者等の利益を保護し、適正な連鎖販売取引の推進を目的として、会員が、「統括者」として遵守すべき事項及びそのビジネス加入者に遵守させるべき事項を定めたものである。

2.適用範囲
 本ガイドラインは、会員が統括者となる組織が行う連鎖販売業のうち、無店舗個人を相手方とする連鎖販売取引に適用する。

3.自主行動基準の内容
 連鎖販売取引を行うにあたっては、特商法をはじめとした法令を遵守しなければならない。その上で、次に掲げる事項を遵守する。

(1)情報の開示について
会員は、情報開示のために交付する書類等については、相手方の理解を容易にするため、分かり易く見易いものを作成し、そのうえで書面の交付に加えて口頭による補足説明を行う等、相手方の理解力に合わせた情報の提供に努めるものとする。
また、当該ビジネス組織への勧誘に関して広告を行う際にも、相手方が得ることのできる報酬について表示あるいは説明する場合には、過大な期待を抱かせることのないよう、正確かつ客観的な情報を開示し、具体的で分かり易い根拠の明示に努めるものとする。

(2)注意喚起文について
勧誘の相手方である無店舗個人の冷静な判断を導くため、交付する書面(特商法で規定する連鎖販売取引の法定書面)に以下に示す趣旨が記された注意喚起文を赤枠の中に赤字で記載することとする。

 <注意喚起のための表示>
当該ビジネス組織への加入に当たっては、交付された書面等の内容を十分に読み、ビジネスプランなどの内容等を客観的に検討したうえで、自己の判断に基づく決定をされたい旨を明示する。

(3)加入者の指導教育について
会員は、ビジネス組織の統括者として、その組織加入者らに対して次に掲げる内容を禁止すべき事項として注意喚起するとともに、その違反に対しては厳正に対処すべきものとする。

1)禁止すべき事項
①稀有な収入例を挙げて、又は誇大な表現で収入を強調すること
・月収130万円の明細書を見せるなど稀有な収入例を示し、誰でもそのような収入が可能であるかのように説明する
・「一攫千金、絶対儲かる」などと説明する
②マージンが得られるから支払可能として高額品の購入を勧めること
・ビジネス加入に際し、「人を紹介すればそのマージンで支払が可能」などと不確実な収入をあたかも確実であるかのように説明し、高額商品の購入を勧める
③名義の貸し借りを前提として、又は、個人情報を虚偽記載させて契約させること
・若年の為、母名義の契約を教唆する
・「代金は自分が払う」として登録名義を借りる
・与信が通らない場合に、氏名以外虚偽の内容を契約書に記載するよう指示する
④借金をすすめること
・「絶対成功する、販社の商品は素晴らしいので、お金を借りてでも参加すべき」などと説明し、借金を勧める
⑤仕事の為には当然購入が必要として不要不急のものを購入させること
・「ビジネス登録には一定量の商品購入が義務である」などとして、必要のない商品の購入を強要する
⑥ビジネスプランなどの内容を十分に説明せず、ビジネスという認識を持たせることなく契約させること
・在庫なしのはずが、実際は在庫がないとできないプランであることを説明しない
・「環境の話をするだけ、物品販売ではない」と友人を誘う
⑦当該ビジネスに勧誘する目的を隠して呼び出すこと
・ビジネスの勧誘であることを告げず、「会いたい」「会社が主催するイベントへの招待」などと言って知人宅に呼び出す
⑧求人広告で、特定利益・特定負担等を正しく告知せずに販売組織に誘引すること
・販売組織への誘引であるにもかかわらず、登録料や報酬等を記載せずに「収入を得たい方募集」などというチラシを配付する
⑨相手方の承諾のないまま、電子メールにより広告または広告と受け取られる恐れのあるものを送りつけること
⑩国、その他の公的機関が認めた組織・ビジネスプランであるかのように告げること 
・事実に反して国から認可を受けているビジネスであると説明する
⑪人に迷惑を覚えさせる形で、強引執拗に勧誘すること
・相手が断っているにもかかわらず良いものだから分かって欲しいと執拗に勧誘する

2)別途定める「商品別禁止事項」についても、会員の主宰するビジネスで取り扱う場合は同様である。

(4)返品(買戻し)制度について
会員は、連鎖販売業を行う場合、あるいは主宰するビジネス組織の加入者にそれを行わせる場合は、商取引に不慣れな無店舗個人を保護するため、購入商品等の返品制度を設け、以下に規定する加入者がクーリング・オフ期間経過後において、当該ビジネスから離脱(脱会等)した場合、購入(仕入れを含む)した商品の返品を当該契約の相手方に書面により申し出た場合は、以下に定める基準に従って返品の受付処理を済ませ、返品商品の受領日後速やかにそれに伴う清算が完了するよう、必要な措置を講じるものとする。ただし、特商法による連鎖販売契約の中途解約・返品ルールが適用される場合においては、本項の規定を適用しない。
会員は、返品を受けた加入者と連帯して当該商品の返品によって生ずる債務の弁済の責任を負う。なお、返品を受けるべき加入者がすでに当該ビジネス組織を脱会している等、返品の受付が困難な場合は、会員が最終的な責任者として当該返品の申し出に対応するものとする。
当該返品(買戻し)制度の内容については、特商法で規定する連鎖販売取引の法定書面に記載して相手方に明示しなければならない。

<当該返品(買戻し)制度が適用されるビジネス参加者の範囲>
当協会の会員及び会員傘下の事業主体が主宰するビジネス組織に加入する無店舗の個人事業主のうち、当該ビジネスを行う資格(資格が複数ある場合はその最初の資格)を取得した日後1年以内の者。

<返品が可能な商品の範囲>
販促品、サンプル等を含む全ての商品(自家消費用を含む)で、返品申出日から遡って1年以内に契約した未使用品(使用品であっても販売担当者等が使用・消費させた場合は返品が可能)とする。
ただし、次の商品は返品の対象とはならない。
 1)再販売した商品
 2)自らの責任で滅失・毀損した商品

なお、次の商品については、予め返品の対象とならない旨を書面(当該返品規定に関して記載された書面)に記載して相手方に明示している場合は、当該対象から除外することができるものとする。
1)品質保証期間・賞味期限を経過した商品で且つ引渡しを受けた日から起算して90日を経過した商品
2)期間限定・地域限定などの限定販売商品(通常の販売では扱われない商品)で且つ引渡しを受けた日から起算して90日を経過した商品

<返金される額>
当該返品商品の購入価額から、最高10%相当までの(解約)手数料並びに当該返品商品の購入により既に受け取っているコミッション等の特定利益を差し引いた額とする。なお、当該返品に伴う送料等の経費は、返品申出者の負担とする。

(5)その他の遵守すべき事項について
会員は、以上に掲げるものの他、次の事項について必要な措置を講ずるものとする。
1)加入者に対する教育について
 傘下のビジネス組織に加入するすべての者に対し、適切な教育制度を設け、特商法のほか関連する法令及び本ガイドラインに基づく教育の徹底を期し、その資質の向上に努めるものとする。

2)苦情処理体制の確立について
 当該ビジネスを巡り問題が生じないよう、苦情の予防に最善の努力を払うとともに、消費者・加入者等が容易にアクセスできる相談窓口を設け、そこに寄せられた声に対しては常に真摯な姿勢で受け止め、生じた苦情の適切かつ迅速な処理に努めるものとする。
 さらに、加入者が独立自営業者であるとしても、連鎖販売取引においては統括者がビジネスに関する問題解決を図らなければならない、との認識を持ち、受け入れ態勢・処理のための指揮連絡等の体制を整えるよう努めるものとする。

3)勧誘に係る説明等の適正化について
 商品等の販売あるいはビジネス参加の勧誘に関して、その説明やデモンストレーションを実施する場合は、虚偽若しくは誇大なものとならないように、事実に基づき正確かつ適正に行われるよう加入者への指導の徹底に努めるものとする。

4)加入者の脱会に伴う債権債務関係の接続について
 ビジネス参加者が当該ビジネスを離脱することにより、当該離脱者の上位者あるいは下位者等との間において、ビジネス上の債権債務関係が切断される事態が生じた場合には、それら加入者が不当に不利益を被ることのないよう、その関係を接続するための措置を実施するものとする。

5)他社及び他組織の加入者への勧誘について
 他社及び他組織の加入者を組織的に引き抜く行為は、それが商業倫理にもとる場合は、かかる行為を行わぬよう、また当該組織内の加入者に行わせぬよう健全な勧誘活動の展開に努めるものとする。

6)取引の相手方として不適当と考えられる者への勧誘について
 加入者が未成年、学生、成年被後見人・被保佐人・被補助人などビジネス活動を行う者として不適当であると考えられる者への勧誘を行わないよう、周知徹底を図るものとする。

7)ビジネスに係る取引状況等の開示について
 加入者に対しては、当該ビジネスに係る取引状況等(販売額、購入額、収支の詳細、手数料、ボーナス、割引高、商品発送、キャンセル、その他の関連データ)を必要に応じ報告するとともに、とくに金銭の支払い等に関してトラブルを生じないように、情報の開示に努めるものとする。

8)在庫の適正化について
 加入者が持つ商品の在庫量は、当該加入者の販売能力、商品の競争力と市場環境、企業の返品・返金方針、商品の経時変化等を考慮して過剰なものとならないように、在庫量に係るチェック管理体制を確立し、適正在庫に努めるものとする。

9)加入者が当該ビジネス以外の職に就いている場合について
 加入者が当該ビジネス以外の職に就いている場合は、その就労上の規則等(就業規則や服務規程等)を遵守し、係る業務に支障を来たすことのないよう指導を徹底するものとする。

附 則
 本ガイドラインは理事会の議決日(平成14年3月28日)を制定日とし、同年6月6日から実施する。ただし、「(4)返品(買戻し)制度について」の規定は、その実施を平成15年1月1日からとし、それまでの期間は「いわゆる消費者参加型の訪問販売に係る自主規制要綱」に規定する「(3)返品(買戻し)制度について」の規定を適用する。
 なお、本ガイドラインの実施日をもって「いわゆる消費者参加型の訪問販売に係る自主規制要綱」は廃止する。

附 則
 本ガイドラインの改正規程は、理事会の議決日(平成16年10月5日)をもって実施する。
附 則
 本ガイドラインの改正規程は、理事会の議決日(平成17年3月24日)をもって実施する。

附 則
 本ガイドラインの改正規程は、理事会の議決日(平成21年10月8日)をもって実施する。

附則(平成24年4月1日)
 本ガイドラインの改正規程は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第106条第1項に定める公益法人の設立の登記の日から施行する。