倫理綱領を具現化するものとして、訪問販売事業の健全発展のため定めています。

2016年10月6日


訪問販売企業の自主行動基準

はじめに
 本「訪問販売企業の自主行動基準」(以下「基準」という)は、公益社団法人日本訪問販売協会(以下「当協会」という。)の倫理綱領を具現化するものとして、訪問販売事業が健全に発展するために、事業者としての行動基準について当協会会員の総意により策定したものである。
  適正な事業活動の推進を目指して定めたこの基準は、それを遵守することによって社会的な信用を高める結果をもたらし得るとともに、消費者から苦情となって寄せられた個々の事例の解決にあたっての判断基準ともなるものである。事実確認をする中で違反行為がなされた可能性があると認められた場合には、事業者が速やかな解決を図ることで、基準の遵守と同じ効果がもたらされると考える。ただし、違反行為が一つでもあったときに直ちに何らかの民事上、刑事上の結果をもたらすということではなく、苦情解決にあたっての総合判断の一要素を構成するものである。
 訪問販売事業者は、その事業活動に際して「特定商取引に関する法律」(以下「特商法」という)をはじめとした法令を遵守しなければならない。違反に対しては刑事上、行政上、私法上の制裁が加えられることで当該法令の遵守が担保されている。それに対し本基準は、主に法令に定めのない事項に関して自主的に定めたもので、制裁を直接の目的とするものではないため業法の刑事的ルールのように要件構成を厳格にしていない。しかしながらその違反内容や頻度等によっては当協会の倫理審査委員会による審査対象となり、改善勧告や権利の停止等の措置が取られ、結果として、それが当協会の制裁措置となる。
 当協会会員はこの主旨を理解し、その遵守を約束する。

1.目的
 本基準は、「事業者と消費者との間には情報の質、量及び交渉力の格差が常に存する」という現実を踏まえ、訪問販売取引を公正にし、消費者とのトラブルの未然防止を図ることで、社会に受け入れられる企業として健全に発展するための行動基準として定めたものである。

2.適用範囲
 本基準は、当協会の会員および当協会の会員に関連する者であって、商品若しくは権利の販売又は役務の提供を訪問販売の方式により業として営む者(以下「会員等」という)の活動に適用する。

3.行動基準の内容
(1)全般
ア 関連する諸法令、倫理綱領等に定められた事項を遵守する。

イ 消費者と接するにあたっては節度ある態度・姿勢を保つ。

ウ 販売するにあたっては、自社で取扱う商品・役務・権利等(以下、「商品等」という)を十分に理解した上で、特性、必要性および取引に関する条件等について消費者に正確に伝える。
 特に以下の点に留意するものとする。
①効能・効果をうたう商品等の情報については、その根拠を自社で確認するか、メーカーや、公平性があると認められる第三者機関のデータを取引先より把握しておくこと。
②商品等の使用者の証言を勧誘等に引用する場合は、誰でもそのような結果が得られると思わせる勧誘等を行わないこと。
③資料については、一部の利用者のみを母体として調査したものではなく、それが大多数を代表するものと判断しうる統計的に客観性が確保されたものを用意しておくこと。

エ 勧誘の開始に際し、消費者が通常の判断力を有しているかについて注意をはらい、懸念されるときは、直ちに勧誘をやめ退去するか、自主行動基準を遵守しつつ適切な対応に努める。

オ 事実に反して他社又は他社商品等を誹謗するような言動はしない。

カ 別に定めた「商品別禁止事項」(細則)に抵触しないように販売活動を行う。

キ 正当な理由なく日常生活で通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約あるいは役務提供契約の締結について勧誘した、と指摘されないように、常に販売・提供の分量について注意をはらうこと。
 特に以下の点には留意するものとする。
①当該契約の分量が、当協会策定の「通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安」(細則 以下、「目安」という)に照らし妥当かを確認すること。ただし「目安」の範囲内であっても、その消費者の財産の状況に照らして不適当とならない分量であることを確認しなければならない。
②その消費者の同一商品・役務についての過去の自社との取引履歴も確認するよう努める。他社との取引履歴についてもできる限り聴き取り、状態を把握するよう努める。
③「目安」を超えた分量の契約の締結を勧誘するに際しては、その消費者の意思に反するものであってはならない。のみならず、その勧誘に正当な理由があったこと、さらにはその契約の締結を当該消費者が必要とする特別な事情があったことを示す資料を残すよう努める。
④「目安」にない商品・役務についても、①の「ただし」以下および②について遵守すること。

ク 消費者本位の考え方に立ち、その消費者の知識、経験及び財産の状況等に考慮し、常にその消費者に応じた対応を取るように努めるものとする。 
 特に以下の点には留意するものとする。
①消費者が生活に支障をきたすような不当な金額の契約を勧めないこと。(一例として、その消費者が生活の原資を主として公的年金に依存している場合に、例えば、住宅リフォームなど高額な契約を勧めないこと)
②当該消費者の判断力不足を認識しながら、それに乗じたクレジットを利用する販売を行わないこと。

ケ 当該消費者の判断力不足を認識しながら、それに乗じて勧誘活動を行ってはならない。(判断力の不足している場合の例:老人又は未成年者等で判断力が不足している場合、認知症、精神疾患又は知的障害等により、判断力が不足している場合等。)

コ 明らかに判断力が不足しているとは認識できないが、判断力不足の懸念のある消費者に対して勧誘活動を行う場合には、十分な判断力を備えた親族等の同意を得るものとする。

サ 次に掲げる事項に該当する契約を締結しようとする場合は、当該勧誘が適切に行われているかを確認する仕組みを設ける等適切な対応に努める。なお、数量基準を設ける場合は、各会員等が関係法令、自社の実情等を踏まえ適切に定めるものとする。
・一定の分量、金額、回数を超える契約を締結する場合
・一定の年齢を超える消費者と契約を締結する場合
・生活の糧を年金に頼っている消費者と契約を締結する場合

シ 会員等は販売員に対する教育指導の徹底を期し、その資質の向上に努めるものとする。

ス 特商法の適用除外規定となる消費者からの請求があった場合(いわゆる来訪要請)に該当するか否かは事案ごとに判断されるものであるにもかかわらず、法令上適している根拠もなく、消費者に対して当該契約は来訪要請であり適用除外であると告げることはしない。

(2)勧誘開始まで
①訪問前の電話等でのアポイント
ア 会社名・商品等の種類と訪問の主たる目的を消費者に伝える。
イ 当該電話等で今話を聞いてもらえるかを確認する。
ウ 話を聞きたくない、今は都合が悪いなどと告げられた場合にはすぐに会話を終了する。明示的な断りの表現でなくても、相手が何かを告げようとした場合には、話すのを止めて意思を確認する。
エ 訪問の主たる目的が販売活動以外であるような誤解をさせないよう、十分配慮する。

②訪問に際しての第一声
ア 会社名・商品等の種類とあわせて訪問した目的を伝える。
イ このまま勧誘活動を続けてよいか、明確に相手方の意思を確認する。その際、意思を明確に示すことが得意ではない消費者が少なくないことに十分配慮しなければならない。
ウ 勧誘活動を続けることに対して、難色を示された場合、勧誘自体を断りたいという意思か、現在のこの勧誘行為を中止して欲しい意思かをできるだけ明確に確認し、いずれの場合でも、その時点で勧誘を中止し退居する。
エ 消費者から「来訪の際に事実に反することを告げられた」等と指摘されないよう十分配慮する。

③特定顧客との接触
ア 会社名と勧誘目的を伝え、勧誘を受ける意思があるか否かを確認した上でなければ、営業所その他の場所に誘うことはしない。
イ 勧誘を受ける意思がないとの意思表示があった場合には、直ちに勧誘活動を中止する。
ウ 勧誘の主目的を故意に隠し、または別の目的を告げて、消費者に接触しない。
エ キャッチセールスはしない。
オ 消費者が求めてもいないのに、何処か他の場所に同行することはしない。

(3)取扱商品の説明
ア 常に消費者の理解度を確認しながら説明をするよう努めるものとする。
イ クーリング・オフが可能な取引であるにもかかわらず、クーリング・オフできないなどと告げることはしない。
ウ 商品等がセットになっている場合には、その総体が具体的にわかる資料を消費者に提示する。
エ 商品等の使用方法や部品の交換等に関する情報は、具体的な資料を呈示するなどして正確に伝える。
オ 「見積り」を示すことが望ましい役務取引に関しては事前に「見積書」等を呈示し、それに基づいた説明をする。
カ 一度に商品購入と役務取引の勧誘をする場合には、それぞれの内容や価格等について正しく情報提供をする。
キ 実現不可能な約束や、会社として認めていない特約を結ぶことはしない。
ク 消費者がいわゆる「社会的弱者」と考えられる場合、商品等の内容が理解できるよう、説明には一層の注意を払い、例えば親族等の立会いを求めるなどの対応を取るように努める。
ケ その他、欺罔的な説明、不当な説明は行わない。

(4)契約締結の実務
ア 明らかに判断力が不足しているとは認識できないが、判断力不足の懸念のある消費者と契約を締結する際には、十分な判断力を備えた親族等の立ち会いを求めるものとする。

イ 消費者が契約の意思決定をしたときに、契約対象の商品等、その契約代金総額、支払方法について理解しているかを改めて確認するよう努めるものとする。

ウ クレジットを利用する場合には、商品等の購入先と支払先が別になっているという「三者間契約」である旨を消費者に伝える。また、明らかに判断力が不足しているとは認識できないが、判断力不足の懸念のある消費者とは、十分な判断力を備えた親族等が立ち会った場合を除きクレジットを利用しないものとする。

エ 契約書面及びクレジット書面の契約者氏名欄は契約者本人の自署とする。

オ クレジット書面の保証人氏名欄は保証人本人の自署とする。

カ 契約書面及びクレジット書面には記入洩れがないように細心の注意を払う。

キ 契約書面及びクレジット書面は直接見えるような形で交付し、よく読むように促す。

ク クレジット契約の与信が不可となった消費者に対しては、当該売買契約が遡って不成立になったという事実を明確に伝えることとする。

(5)社内手続き
ア 事務手続きの洩れがないように事務処理体制を整備する。

(6)契約履行・アフターサービス
ア 納品、役務提供等契約内容として定めたことやアフターサービスは確実に履行する。

イ 商品等についての質問などには誠意を持って対応する。

(7)契約後の対応
①窓口の設置と消費者志向の対応
ア 会員等は、専門の窓口を設置し、「消費者対応窓口の5つの役割」をはじめ当協会のまとめた『消費者相談対応の基本』に記載した内容を理解した担当者を窓口に配置する。
イ 商品等への問合せや、契約内容に関する問合せには、消費者の立場に立って丁寧に応対する。
ウ 肌トラブルや体調に合わない、商品の不具合など、消費者の申出が拡大損害のおそれのある内容の場合は、担当者を派遣する等迅速に対応する。

②クーリング・オフへの対応(法定のクーリング・オフ要件を満たす場合)
ア クーリング・オフに関しては妨害行為、拒否行為と受け取られることのないように、言動には十分注意する。
イ 電話等(口頭)でクーリング・オフの申出がなされた場合、a.後日紛争とならないように電話での申出記録を確実に残した上で手続きを取るか、b.期間内に書面を発信するよう求めるものとする。bの場合、届いた書面の発信日が期間外であっても、電話での申出日がクーリング・オフ可能な期間内であったと客観的に認められる場合にはクーリング・オフとして処理する。

③解約希望の申出への対応(クーリング・オフ期間経過後あるいは法定クーリング・オフが適用されない取引の場合)
ア 「解約は一切できない」との回答で門前払いすることなく、消費者の申出内容を真摯に聞き取る。
イ 聞き取りした申出内容が解約には応じられない内容であることが明らかな場合、解約できない理由を、誠意を持って説明する。
ウ 基本的には申出内容の事実確認をし、その調査結果を踏まえた上で適切に処理する。
エ 申出の中で本基準や「商品別 禁止事項」「目安」に抵触する行為が明らかになった場合には、特に迅速かつ適切な対応を取るものとする。
オ 解約可否の判断や、解約する場合の損料については、あくまでも当該事例にそって個々の対応とするが、当協会作成の『消費者相談対応の基本』やその他の業界団体基準等も参考にした上で、各社がその基準となるものを用意し、透明性の確保に努めるものとする。
カ いわゆる社会的弱者を相手方とした契約に関する申出の場合は、聞き取りに一層の注意を払い、十分に状況を把握した上で判断するようにする。

(8)附則
ア 本基準は理事会の議決日(平成14年3月28日)を制定日とし、同年6月6日から実施する。
イ 本基準の実施日をもって「学習教材等訪問販売に係る自主規制要綱」は廃止する。
ウ 本基準改訂版は理事会の議決日(平成16年10月5日)をもって実施する。
エ 本基準改訂版は理事会の議決日(平成17年8月23日)をもって実施する。
オ 本基準改訂版は理事会の議決日(平成18年10月5日)をもって実施する。
カ 本基準改訂版は、改正特定商取引に関する法律の施行の日(平成21年12月1日)より実施する。


附則(平成24年4月1日)
この変更規程は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第106条第1項に定める公益法人の設立の登記の日から施行する。

附則(平成26年10月6日)
この変更規定は、理事会の議決日より実施する。