「通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安」について
平成21年10月8日
公益社団法人日本訪問販売協会
1.趣旨
平成20 年6 月に改正公布された特定商取引法の「過量販売」契約の解除制度(第9 条の2)は、契約した商品等の分量が、通常必要とされる分量を著しく超えている場合に、1年以内に限り、当該契約の締結を必要とする特別な事情があった場合を除き、その契約を解除ができる権利を消費者に付与したものである。
通常必要とされる分量を著しく超えたすなわち「過量」と判断される分量の基準については、①個別事案毎に当該契約を必要とする特別な事情があったか否か等の状況を勘案した上で判断されるため、絶対的な分量基準を設けることは不可能であること、また、②分量基準をわずかに下回る取引は過量には当たらないといった解釈を招きかねないことから、その適用の可否に直結し得るような分量基準を作成することは適切でないとの考えがある。
これらのことを踏まえ、当協会としては、健全な取引を行う事業者が安定的かつ安心して取引を行うための環境をつくるため、「過量」には該当しないと考えられる取引量を調査、分析、整理のうえ、「通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安」を作成・提示し、消費者との信頼関係に基づく訪問販売の適正な取引の推進と業界の健全な発展を目指すことにした。
2.商品・役務と目安のとらえ方
(1)商品・役務
「通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安」を示すべき商品・役務については、かならずしも過量販売の苦情相談が生じやすいという特性だけに着目するのではなく、訪問販売により扱われる主要な商品・役務であることも考慮に入れ、当面は10品目を定める。今後は、過量販売等に関する苦情相談等の発生状況を踏まえながら商品の追加等を検討する。なお、商品・役務ごとの同種の該当性は個別に判断することを前提として作成した。
また、商品・役務により、それまでの取引分量を基準とするものと過去1 年間の取引分量を基準とするものとがあるが、これは個々の商品・役務の性質や販売実態に即して目安を作成した結果である。なお、1 年間の取引分量で目安が示されている商品については、その分量が一度に販売する分量の目安ではないことに注意されたい。
(2)とらえ方
ここでいう目安とは、まさに、通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安となるものである。したがって、この目安を超えた販売分量が直ちに過量に該当するものと考えるのではなく、また反対にこの目安の分量であれば過量に該当しないと断定できるものでもない。冒頭、述べたように過量販売の事案はあくまでも個別事案ごとに判断されるものであるという大前提にたつものである。
しかしながら、健全な事業者が安定的かつ安心して取引を行う上で、この目安が一つの指針として扱われることが、訪問販売取引における消費者保護と健全な事業の推進の観点から必要なことであると認識するものである。
したがって、今後、会員は、訪問販売を行うに際し、同種の商品・役務に係る過去の契約状況を確認すること、及びここで定める分量の目安を超える量の販売を行う場合は、その契約の締結を必要とする当該顧客の特別の事情を適切な方法により確認等を行うことが望ましい。
3.通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安
この目安は、訪問販売に係る販売量の実態調査を会員に対して行い、その結果を踏まえ作成したものである。
商品・役務 | 商品・役務の内容等 (販売単位等は代表的な売り方として考えられるもの) |
通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安 (この目安を超えた販売分量が直ちに過量に該当するものと考えるのではない) |
健康食品 | 保健機能食品を含む健康食品全般 | 原則、1人が使用する量として1年間に10ヶ月分。 |
下着 | 体型補整下着(セットで装着し主に体型を補整する機能を謳うもの)でブラジャー、ウエストニッパー、ボディスーツ、ガードル等4枚程度を組合せたセット | 原則、1人が使用する量として1年間に2セット。 |
着物 | 着物・帯が基本。これに襦袢、羽織、草履等を組合せたものも含む | 原則、1人が使用する量として1セット。 |
アクセサリー | ネックレス、指輪、ブレスレット等の宝飾品全般(雑貨は除く) | 原則、1人が使用する量として1個。 |
寝具 | 掛布団・敷布団が基本。これに枕、シーツ、毛布等を組み合わせたものも含む | 原則、1人が使用する量として1組。 |
浄水器 | 原則、1世帯について1台。 | |
健康機器 | 家庭用医療機器を含む健康機器全般 | 原則、1世帯について1台。 |
化粧品 | 化粧水、乳液、クリーム等のフェイシャルスキンケア商品 | 原則、1人が使用する量として1年間に10個。 |
学習教材 | 小・中・高の学習教材 | 原則、1人が使用する量として1年間に1学年分。 |
住宅リフォーム | 屋根や外壁等の住宅リフォーム全般 | 原則、築年数10年以上の住宅1戸につき1工事。 |
※通常、耐久財は使用による保有量の減少はないものと考えられるが、消耗品は使用消費することで保有量が減少するため、過去1年間の購入量を目安とした。ただし、過量に該当するか否かは過去1年間より前の購入量を踏まえて判断されることがあり得るため、過去の購入状況をできる限り把握したうえで販売することが望ましい。
※健康食品については、過去1年間の購入量の目安であって1度に購入(販売)する分量の目安ではない。
※化粧品については、過去1年間の購入量の目安であって1度に購入(販売)する分量の目安ではない。また、1個の量の目安は、使い方等による個人差はあるが、1人が使用して3ヶ月程度で消費する量とし、一般にフェイシャル
スキンケア商品は各種化粧水、乳液、クリーム等から3~4種類程度を組合せて購入される実態を前提としている。
※商品等の順番は日本標準商品分類による。
→通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安(PDFファイル)