訪問販売でよくあるご相談を紹介しています。

 事例1 これって訪問販売?

gimon「ボランティアで寄付のお願いで各家庭を回っている」と言う人が家に来ました。インターホン越しに話を聞くと、結局タオル5枚を5千円で買ってほしいという話でした。これは訪問販売ではないのでしょうか。

point通常、ボランティアでの寄付活動は売買契約にはならず、訪問販売には当たりません。
もっとも来訪者が寄付と告げても、結局タオルを買うことになったというのであれば、売買契約を結んだことになり、訪問販売に当たると言えます。

→訪問販売とは

 

 事例2 環境の話というのでドアを開けたら

ikari「環境についての話を聞いてほしい」と言うのでドアを開けると太陽光発電の勧誘でした。最初から太陽光発電を勧めに来たと言ってくれれば良いのに、こういう訪問販売は問題ではないか。

point訪問販売では、その勧誘に先立って次の3つの事項を明示することが法律で義務付けられています。

①販売業者等の氏名または名称
②契約の締結について勧誘をする目的である旨
③商品若しくは権利または役務の種類

勧誘に先立ってとは、具体的には「インターホンで開口一番に告げる」こと等が考えられることから、ご相談にある事業者は、明示義務を果たしていないということになります。

→お客様への第一声(氏名等の明示義務~第3条)

 

 事例3 断っているのに勧誘をやめてくれない

nayami「浄水器の点検に来ました」と言うので自宅に上げたところ、新しい浄水器を設置するよう勧められました。「家族に相談しないと決められない」と断ったのですが、執ように勧誘されて契約してしまいました。

point訪問販売では、再勧誘を禁止する規定があるため、断られているのに勧誘を続けたり、再び訪問して勧誘することはできません。
ご相談の内容では、断っても勧誘を続けているため、この規定に違反していることになります。また、勧誘に先立って「浄水器の点検」としか告げていないので、事例2同様、明示義務も果たしていないことになります。

→ご都合伺い、引き下がる勇気(再勧誘禁止等〜第3条の2)

 

 事例4 材料を手配したと言ってクーリング・オフに応じない

komari訪問販売で住宅リフォームの契約をしましたが、翌日息子に話したところ「高額過ぎる」と反対されました。言われてみればもっと安くできる気がするので、業者に電話をして「やっぱり工事をやめたい」と申し出たところ「既に材料の手配をしてしまった」と言って解約に応じてくれません。

point住宅リフォームなど比較的高額な契約については、他の業者からも見積りを取り、できれば家族や周りの人にも相談して決める方が良いでしょう。また、契約書面(または申込書面)をもらった日から8日を経過するまでは、仮に工事をしてしまった後でもクーリング・オフによる契約解除を申し出ることができます。
たとえ書面や念書に「この契約はクーリング・オフできない」旨が書かれていたとしても、消費者に不利な特約は無効となります。

→クーリング・オフ制度について

 

 事例5 一年前の契約が有効?

aseri一年前に「とるのは一年先で良いから」と頼み込まれて新聞の購読契約をしました。今月から配達が始まって契約のことを思い出したけど、一年も前の契約が有効なのでしょうか。

point「一年も前のことで…」と思ってしまうかもしれませんが、一年経ったからといって契約が無効になるわけではありません。それどころか、一年も前の契約では、クーリング・オフによる契約解除ができる期間も過ぎてしまっています。
断り難い場合もあるかもしれませんが、その時「必要ない」と思った契約は慎重に判断してください。

→契約について

 

 

 事例6 代筆によるクーリング・オフについて

aseri2祖母が訪問販売で消火器を契約したのですが、クーリング・オフで契約解除したいと思っています。クーリング・オフは書面で行う必要があるそうですが、家族が代筆しても大丈夫でしょうか。

pointクーリング・オフの通知は本人の意思があれば代筆でも問題はありません。ただし、事業者から契約者の意思の立証を求めらることもあるかもしれません。そう考えると筆跡鑑定も可能な自筆の方がより良いと言えます。
高齢等で文字を書くのが大変という場合、文面は代筆でも可能であれば住所や氏名は本人に書いてもらう方が良いでしょう。

→クーリング・オフの方法

 

 事例7 未成年者の契約

gimon219歳の大学生の娘が、12万円の化粧品のセットを契約していました。販売会社に未成年の契約なので取消す旨を申し出たところ、取消には応じるが既に使用している化粧水とクリームは買い取るよう言われ、2万5千円を請求されました。これは支払わなければならないのでしょうか。

pointご相談は未成年取消の事例であり、化粧品を使ってしまっていても残っている分をそのまま返せば良く、販売会社から請求された2万5千円を支払う義務はないでしょう。未成年等の制限行為能力者が契約を取消した場合は、「現に利益を受けている限度において」そのときに形を変えて残っている商品のあるがままの状態で返せばよいとされています。

→契約について

 

 事例8 3千円未満の現金取引

fuman昨日、職場に布用洗剤の訪問販売が来ました。実演でカーペットの汚れがきれいに落ちるのを見て欲しくなり購入。その場で代金2千円を全額支払い、商品を受け取りました。その際、名刺はもらいましたが、それ以外の書面等はもらっていません。帰宅後、早速自宅のソファーで使ったところ、実演のように汚れが落ちません。返品してお金を返してほしいと思っています。

point訪問販売で3千円未満の現金取引(その場で代金を全額支払い、商品等を全て受領)はクーリング・オフが適用されません。また、洗剤は使用消費した場合にクーリング・オフができない消耗品として政令で指定されている(他には化粧品や健康食品等があります)ので注意してください。
しかし、3千円未満の現金取引であっても事業者には書面交付が義務付けられています。ご相談の事例では名刺以外の書面が交付されていないため、事業者は書面交付義務違反となり、罰則や行政処分等の対象となります。

→クーリング・オフ制度について